……生きてる。私、生きてる。
でも、なんだか、変に心地良い……。
ほんとは死んでいて、ここは天国なのかな?
ついさっきまで、私は大きな飛行機に乗っていたのだが、いきなり墜落していったのだ……。それから今までの記憶は無い……。
どうやら、細かな砂粒のベッドで、私は寝ているようだ。静かな波の音が聞こえてきて、私を癒す。夕日が私を照らしているのがわかる。ずぶ濡れになっている服が、少しずつ乾いていく。
……私は生きている。それは確かなのだが、ここはどこだろう?
私の目には、空高くそびえる摩天楼や縦横無尽に飛び回る飛行機ではなく、美しい夕日や、小雲が小舟のように進んでいく美しい青空しか映らない……。
私の耳には、都会の喧騒ではなく、自然が奏でる音しか聞こえない……。
私の鼻には、排気ガスではなく、潮風の匂いしか匂わない……。
どうやら、文明から遠く離れたどこかの南の地にいるようだ。
「君、大丈夫?」
突然、英語で声をかけられた。声がしたほうを見る。
……そこには、私ぐらいの年頃の白人の男の子がいた。短めの茶髪で、活発そうだが、上品な外見をしていた。
心配そうな表情の彼は、ずぶ濡れの私をじっと見ている。恥ずかしい……。